■力学の基礎
 下記は、伝動軸に作用する荷重を算出する為の諸事項である。
 (1)力と単位系  ・換算表
 運動方程式 力F 質量 m加速度 d2x/dt2
 F = m d2xdt 2 SI 単位系 [N] [kg] [m/s2]
 重力単位系 [kgf] [kgf・m-1s2] [m/s2]
   
 N kgf
 10.10197
9.80665 1





   ここに、 1 [N]ニュートン = 1 [kg・m/s2]   F[N] = F[kgf] × 9.80665 [m/s2]    標準重力加速度 g =9.80665[m/s2]
   ・力の計算:
    質量m の物体に力を作用させた時、その力に対し他の拘束力や摩擦力等の外力 R が存在する場合、物体に
    加速度 α =  F-Rmの動きを発生させる。   力の大きさの定義としては、 「自由運動が可能な質量m の
    物体に力を作用させたと想定した時、 加速度α = Fmの動きを発生させる力である」と、表現できる。


 (2)静止または一定速度でのトルク
   荷重Wを 巻上げ機で上昇での 軸の負荷 (おもりWの吊上げ力F = W )
 算出式 トルクT 荷重 W回転半径r
 T = r・W  SI 単位系 N・m [N] [m]
 重力単位系 [kgf・m] [kgf] [m]
   外部荷重によるトルクは、回転軸に発生する「ねじりモーメント」と同値。




 (3)円運動でのトルク
  (a)剛体の一点について、角速度 ω= dθ/dt  速度 v = rω  運動量 mv= mrω
    角運動量(mvのモーメント) = mr2ω  角運動量の保存の法則にて、外部モーメントT = d(角運動量)/dt


  (b)剛体の全体について、慣性モーメント J = 芭r2 と定義すると、 外部モーメントT = J d2θdt 2 = J dt


  (c)典型的な図形の慣性モーメント J
   (イ)中空円筒体(r1=0で円筒体)
     J = ∫A(ρc・dA)r2 = ρc∫Ar2dA = ∫r1r2 2πρcr2rdr = πρc(r24 - r14)/2 = m・(D22+D12)/8
   (ロ)立方体(棒状を含む)
     J = ρc∫Ar2dA = ρc∫A(x2+y2)dA = ρcb∫-a/2a/2 x2dx + ρca∫-b/2b/2
       = m・(a2 + b2)/12 y2dy = ρcba3/12 + ρcab3/12
   (ハ)球体
     J = 2R2m/10 = D2m/10
     この式の求め方は、参考に下記に示す。
     半径Rとし、x2+y2+z2≦R2 なる球に於いて、上述(b)の形状奥行きc に相当する値は、図形 x2+y2≦R2-z2 の面積であり、
     即ち A = π(R2-z2) である。 これより、体積は  V = ∫zA dz = ∫-RR π(R2-z2)dz = 4πR3/3 となる。

     同じくこの面積を用いて、y軸の慣性モーメントは Iy = ρ∫xA x2dx = ∫-RR πρ・(R2-x2)・x2 dx = 4πR5/15、
     ここで、r2 = x2+y2    従って、J = Iy + Ix = 8πρR5/15 = 2R2m/10 = D2m/10

   (ニ)丸棒
     S1 = πR2  J1 = ρS1-L/2L/2 x2dx = 2ρS1(L/2)3/3 = L2m/12
     S2 = 2RL  J2 = ρS2oR 2πr・r2 dr = ρπS2R4/4 = R2m/4 = D2m/14

     従って、    J = J1+J2 = (4L2+3D2)・m/48
   (ホ)円直錐
     V = πh(R2+Rr+r2)/3      J = ρπh10 R5-r5R-r = m・ πh10 R5-r5(R-r)・V


  (d)座標移動
      図心軸に関する慣性モーメントをJoとし、 これと平行な軸で慣性モーメント J = Jo + m・e2
      但し、eは両軸間距離、mは質量である。


  (e)モーメントと単位系
 トルクの式 トルク T 慣性モーメント J角加速度 dω/dt
 T = J d2θdt = Jdt  SI 単位系 [N・m] [kg・m] πN30t [m/s2]
 重力単位系 [kgf・m] GD24・9.81・10 4 [kgf・m-1s2]
     ここに、 GDスクエア: GD2 [kgf・cm]  回転数: N [rpm]  平均立上り時間: t [sec]
          記述に関し、 N は 単位のニュートン の場合と 毎分回転数の変数値 の場合がある。
          慣性モーメント J は、 SI単位系の場合、イナーシャ とも呼ばれている。
          イナーシャ の単位は、 1 [kg・m] = 1[N・m/s2]

 (4)馬力の算出と単位
 馬力の式仏馬力 Hトルク T回転数 N
 H = T2πN60 17500 = 0.1047TN17500  [PS] [kgf・cm] [rpm]
   ・単位換算    
 N・m/s (ワットW) kgf・m/s kgf・cm/s仏馬力PS
 735.49875 75 7500 1
 9.80665 1 100 175
 0.0980665 0.01 1 17500

rev.(3)の(c)の(イ) Date 2007-7-3
■ねじり剛性とせん断応力 →詳細
  (a)基礎事項
   ・せん断ひずみγは、部材の微小断面を考え、単位長さ当たりの滑り量とし、γ≒tanγ である。
   ・せん断応力τは、せん断ひずみγにて生じる内部応力で、横弾性係数(剛性率、又はせん断性係数)G
    に比例し、τ = G・γ である。
   ・丸棒をねじりモーメントMで捩る時、せん断ひずみ γ= rθ = rφ/ L
    および せん断応力τ = G・rθ

  (b)ねじりモーメント dT = r・ τdA  一方 τ = G・rθ より
    T = ∫Aτr dA = Gθ∫Ar2 dA = GIpθ
    ここに、
     ・断面2次極モーメント Ip=∫Ar2 dA
     ・GIp は ねじりこわさ と称す。
     ・せん断応力τ は、τ = G・rθ である故、τ = T・rIp
     ・ねじり断面係数 Zp = Ip/r にて、τ = T/Zp

     なお、一例として、円断面では、 dT = 2πr・dr・τ・r 故、  T = Gθ∫ 0r2 2πr3dr = GθI p ここに、 Ip = πr4/2


  (c)典型的な断面の断面2次極モーメント
    (イ)中空円筒断面 (d1=0で円断面)
    Ip = ∫ r1r2 2πr3rdr = π(r24 - r14)/2 = π(D24 - D14)/32
    (ロ)楕円断面 (a=bで円断面)
      Ip =πab(a2+b2)/4        → 楕円断面2次極モーメント 参照
 
      サンブナンのねじり定数 J = πa3b3 a +b  22ねじり剛性 参照
強度計算・実践への一歩
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