はり ■梁の計算の基礎(→モーメントの説明) (1) せん断力F [kgf] と 曲げモーメントM [kgf・mm] (微小要素への作用、右図1) 力の釣合い、 下向き力の合計 = ωdx - F + F +dF = 0 より dF/dx = - ω ---- @ 値の算出には、上式を部材xo〜x 間について、上式を積分して (rev.2019-4-12 符号訂正しました +∬→ -∬) この項は、荷重 ωdξに距離 (x-ξ) を掛けた1次モーメントdM を積分したものである。 右図(b)参照。 従って、図形の図心の定義に対応させることが出来、上式をAx- と置いて、 Ax- = =∫xox ω(x-ξ) dξ= A・x- ここに、面積 A = ∫oξω dξ 図心距離 x- = Ax- / A ここで、式@'A'を書き直して、 F = Fo - A M = Mo + Fo・x + Ax- 備考 ・代表的な面積モーメントAx-を右図に示す。 ・この利点は、図形で見る明瞭さ。しかし、図を残す作業より、積分記号を2回書き込む方が簡単。 ・集中荷重の場合、分布荷重での積分式に対応できる記述方法を右図に示す。(→ディラックのデルタ関数) ・はりの軸に沿って、 F,M の値の線を 記載したのを せん断力図(SFD)、曲げモーメント図(BMD)と言う。 計算例 (a)○イ集中荷重、突出しはり、(計算の区間 0〜x、及び x=bで M=0 とする) 式@'A'おける∫wdxは、Rとなる。 F = Fo+R = aW/b, M = Mo+ Fo・x + R・x = -W(a+x) + R・x = - Wa(b-x)/b なお、Fo=-W, Mo = -aW, R= W(a+b)/b この計算は右図○ロの等価計算には便利。 ( 区間 -a〜x での場合では、 計算は簡単で、x=-a での FoおよびMoはゼロ、 x<0 でF = -W, M = -Wx x>0 で F=R-W, M = -W(a+x) + R・x = - Wa(b-x)/b ) (b)○イ等分布荷重、片持ちはり、対象領域 0〜x、∫ωdx=ωx F = R - ωx = ωz, M = Mo + R・x-ωx2/2 = -ωz2/2, なお、Fo=0, R = ωL, Mo = -ωL,2/2, z = L-x ( この結果は、最初からzについて考えると計算が簡単で、SFD,BMDの際はxで考える。 ○ロの場合は、xでの計算が簡単である。但し、最終的に位置の基準点換算は必要 ) (2) たわみの前提条件: 真直梁に純曲げが生じて、断面平面及びその縦繊維との直交性が、 曲げ前と同じく保たれている(ベルヌイナビエの仮説) ここに ε を歪み[無単位]、Eを縦弾性係数[kgf/mm2] ひずみ ・歪み ε= λl= h・θρ・θ= hρ------- C ・断面2次モーメント(定義式) I = ∫Ay2 dA [mm4] ----- D ・断面が受けるモーメントM = ∫Aσy dA [kgf・mm] ----- E ・断面係数(定義式) Z = I/η [mm3] 但し、中立軸から最遠点距離 η [mm] ---- F (→公式) ・@〜Eにて、 曲げの公式 σ = M / Z [kgf/mm2] ----- G }(→算出説明) 曲率 1ρ = MEI [1/mm] ----- H ・更に、曲率 1ρ = -dids = -d(tan i)dx did(tan i) dxds = - d2ydx 2 cos3i ≒ - d2ydx 2 ---I の代入による。 (→追加説明) ・方向の符号正負について、応力は圧縮をマイナス、引張りをプラス (引張り応力の増分もプラス)で、 座標は 梁においては 下方をy方向プラスとしている。 従って一般には、曲げ応力の方向の正負は、 y方向に引張りが増となる場合をプラスとする。 即ち、はりを凹湾曲とさせる場合をプラス、凸湾曲と させる場合をマイナスとしている。 図(2)参照。 たわみ ・撓み角度は、 i = tan-1( dydx ) ≒dydx[rad] で近似する。 ( 8度でも誤差は -0.1% 以下)
・撓み角の式
i = io + ∫xox
-MEIdx
[rad] ------------ J
・撓みの式
y = yo + ∫xoxi dx =
yo + io・(x-xo) + ∫xox
∫xox
-MEIdx dx [mm]
- K
(→2重積分の注意点)
・典型的な例 (右図) (イ)片持ちはり 集中荷重P [kgf]の場合 固定点x=0で 撓み角i=0 撓みy=0 固定点からxの位置において M = -P・(L-x) x点での撓み角 i = io + ∫ox P・(L-x)EI dx = P・(Lx - x2/2)/EI x点での撓み y = yo + ∫ox P・(Lx - x /2)2 EIdx = P・(3L・x2 - x3)/6EI (ロ)片持ちはり 分布荷重q [kgf/mm] の場合 固定点x=0で 撓み角 i=0 撓みy=0 xの位置において M = -q・(L-x)2/2 x点での撓み角 i = io + ∫ox q・(L-x) /22 EIdx = q・(L2・x - L・x2 + x3/3)/2EI /24EI (ハ)両端支持はり 集中荷重P [kgf] の場合 yA = 0 RA = b・P/L M1 = RA・x M2 = -P・(x-a)、 x<aで M = M1 x>aで M = M1+M2 yB = yA+ L・iA + ∫oL ∫ox -M1EIdx dx + ∫aL ∫ax -M2EIdx dx = P・b(-L2 + b2)/6EI = 0 従って、iA = P・b(L2 - b2)/ 6EIL x < a で i = P・b(L2 - b2 - 3x2)/ 6EIL y = P・b・x・(L2 - b2 - x2)/ 6EIL x>a で i = -P・a(L2 - a2 - 3z2)/ 6EIL y = P・a・z・(L2 - a2 - z2)/ 6EIL (→詳細説明) (ニ)両端支持はり 分布荷重q [kgf/mm] の場合 yA = 0 RA = L・q/2 M = RA・x - q・x2/2 及び yBは 式Kで x=Lにて yB = yA+ L・iA + ∫oL ∫ox -MEIdx dx = L・iA- q・L4/ 24EI = 0 故に、 iA = q・L3/ 24EI 従って、式JKより i = q・(L3 - 6L・x2 +4x3)/24EI y = q・(L3x - 2L・x3 +x4)/24EI 追加 Date 2007-9-6
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■不静定はり と 曲げモーメント 両端固定などの場合、曲げモーメントの式にて諸変数値を算出できる。 ・端モーメント MA,MBの作用 x点でのモーメント M = RA・x + MA ---@ この式でx=L、又はB点モーメントより RA = (MB - MA)/L -A 上式を下記の如く、たわみ角の式、たわみの式に代入して 撓み角 iB = iA + ∫oL -MEIdx = iA - (RA・L/2 + MA)・L / EI = iA - (MA + MB)・L / 2EI -B 撓み yB = yA + ∫oL {iA + ∫ox -MEIdx } dx = yA + iA・L - (RA・L + 3MA)・L2 / 6EI = yA + iA・L - (2MA + MB)・L2 / 6EI ----C 曲げモーメントにて発生するたわみ角の算出 上式Cより、iA=(2MA + MB)・L / 6EI + (yB - yA)/L----C' これを式Bに代入して、 iB= -(MA + 2MB)・L / 6EI + (yB - yA)/L----B' 曲げモーメントの角度から曲げモーメントの算出は、式BCを連立方程式としてを解いて MA = 2EI・(2iA + iB)/L - 6EI(yB - yA)/L2 --D MB = -2EI・(iA + 2iB)/L + 6EI(yB - yA)/L2 --E ・起因要素ごとに考えると、端モーメントM、荷重W、及び支点間傾斜Dがあり、 各諸変数に M,W,D を 上添え字で付記して、例えば 上記のA点での角度 iA は iAM (一般的には iA,M であるが ) と記述すれば、 例、 yA = yAM + yAW + yAD iA = iAM + yAW + iAD --- F 下記に典型的例を示す。 ・両端固定 (右下図、支点間傾斜なしの場合) 支点で、 iA = iB = 0 iAM = iA - iAW = -iAW 同様に、iBM = -iBW これらを各々式D,Eに代入して MA = -2EI・(2iAW + iBW)/L --D' MB = 2EI・(iAW + 2iBW)/L -----E' (a)集中荷重 P 前述(ハ)iAより、 iAW = P・b・(L2 - b2) / (6EI・L) iBW = -P・a・(L2 - a2) / (6EI・L) これを前記式D'E'に代入して、 MA = -P・a・b2/L2 MB = -P・a2/・b/L2 抗力RA = (-MA+MB+Pb)/L = Pb2(3a+b)/L3 RB =P-RA = Pa2(a+3b)/L3 (→詳細説明) これは不静定が解けたことであり、撓み角i および撓みy は、基本式に代入して x < aで M = P・b2・{(3a+b)・x-a・L}/L3 i = P・b2x・{2a・L-(3a+b)・x} / (2EIL3) y = P・b2x2・{3a・L-(3a+b)・x} / (6EIL3) x > aで M = P・a2・{(a+3b)・x-b・L}/L3 i = P・a2z・{2b・L-(a+3b)・z} / (2EIL3) y = P・a2z2・{3b・L-(a+3b)・z} / (6EIL3) (→詳細説明) (b)分布荷重 q 前述(ニ)より iAW = -iBW = q・L3 / 24EI D'E'式に代入して、 MA = MB = -q・L2 / 12 これにて不静定が解けて M = MA+RA・x+∫ox(-q・ξ) dξ = -q・(L2 - 6L・x +6x2)/12 従って、撓み角i および撓みy は、基本式に代入して i = q・x・(L-x)・(L-2x) / 12EI y = q・x2(L-x)2 / 24EI (→詳細説明) 追加 Date 2007-9-13
(c) ラーメン各部材 (はり部、柱部)の端部について、力とモーメントの釣合い、撓み角と撓みの基本式にて 計算ができる。 ラーメン(はり計算解法)、ラーメン(補強材付) を参照。 その他の参考: たわみ角法、ラーメン(たわみ角法) 追加 Date 2014-5
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■3モーメント法 下記に示すように、両端支持はり に 端モーメント を考え、部材角度の連続にて、3モーメントの式が導かれる (ここでは、支点間傾斜の場合も含む)。 連続はりの解法などに用いられる。 ・左側(No.1)スパン 右支点の撓み角、 i1B = i1BM + i1BW + i1BD -----G 式B'にて、 i1BM = -(M1A+2M1B)・L1 / 6EI + (y1BM-y1BM)/L1 -- G' ・右側(No.2)スパン 左支点の撓み角、 i2A = i2AM + i2AW + i2AD -----H 式C'にて、 i2AM = (2M2A+M2B)・L2 / 6EI + (y1BM-y1BM)/L1 ----H' ・上記4つの式に、右図aの角度連続 i1B = i2A、 右図cの釣合い M1B= M2A、及び記号を整えて次式となる。 ・3モーメントの式 L16EI1M1 + (2L16EI1 +2L2 6EI2 )・M2 +L26EI2 ・M3 = i1BW - i2AW + i1D - i2D -I なお、支間傾斜角は、右図d の如く、 i1AD = i1BD = (y1B - y1A)/L の故、 i1D = (y1B - y1A)/L と記述。 ・抗力は、両端支持での荷重による抗力(前述 ハ,ニ 参照)と、上式の端モーメントによる抗力(前述式A)の合計 例えば 右上図、支点2では、 R2 = R1BW + R2AW + R1BM + R2AM --J ・集中荷重 W1,W2の場合、R2 = a1W1/L1 + b2W2/L2 + (M1-M2)/L1 + (M3-M2)/L2 --J' ・等分布荷重ωの場合、R2 = = ω1L1/2 + ω2L2/2 + (M1-M2)/L1 + (M3-M2)/L2 --J' ・点xにおける曲げモーメント 単純支持では、計算基礎の式A'において、Mo=0 で M2XW = R2AW・x +∫ox ∫oξ ω dξdξ 端モーメントによるx点のモーメントは、M2XM = M2 + R2AM・x = M2 + {(M1-M2)/L1 + (M3-M2)/L2}・x 曲げモーメントはこの合計 M2X = M2XW + M2XM -- K ・計算手順の例 (支間傾斜無し) ・両端単純支持、両端間に支持点数1、各スパンに集中荷重 W1,W2 モーメントは、単純支持にて M1= M3 =0, 3モーメント式IよりM2= ( i1BW - i2AW ) ・(2L1 + 2L2)-1 但し、前述(ハ)より角度 i1BW= -a1b1(2a1+b1)・W1/L1、 i2AW = a2b2(a2+2b2)・W2/L2 抗力は、(ハ)より、 R1=R1AW=b1W1/L1 R3=R2BW=a2W2/L2 R2は式J'を参照 モーメントは、スパンNo1 x<a1: M=R1・x x<a1: M=R1・x - W1 ・両端固定、両端間に単純支持点数1、等分布荷重 ω 式C'より (2M1 + M2)・L1 / 6EI = i1 - i1W= -i1W 但し(ニ)より i1W = ωL13/24EI -C" 式B'より (M2 + 2M3)・L2 / 6EI = -( i3- i3W) = i3W 但し(ニ)より i3W = -ωL23/24EI -B" 式Iより L16EI1M1 + (2L16EI1 +2L2 6EI2 )・M2 +L26EI2 ・M3 = i1BW - i2AW = -ω(L13 + L23)/24EI 但し、(ニ)より i1BW = -ωL13/24EI i2AW = ωL23/24EI -I" 上記の3連立方程式を解くことにより、各支持点での曲げモーメントが算出できる。 なお、 L1=L2 の場合は、 M1 = M2 = M3 であり、1スパンが両端固定と等価である。 (→詳細説明) ・連続梁 支点の番号をk=1,2・・・とし、各支点の右側スパンに同番号を付けて、上式Iより Lk6EI1Mk + (2Lk+16EIk+1 +2Lk+1 6EIk+1 )・Mk+1 +Lk+16EIk+1 ・Mk+2 = ikBW - ik+1AW + ikD - ik+1D -I ・境界条件 (左端 No.0点について) (a)突出はり : M0 = M0W 例、突出長c の集中荷重Pは M0W = -P・c 、 Rは前述(1)(a) 図○ロを参照。 (b)単純支持: M0 = 0 (c)固定 : 前述C'式より M0 = 3EI・L0・i0AM - M12 及び i0AM = i0A - i0AW - i0AD 右端No.n+1点での境界条件も同様である。 |
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■沈下支点(弾性支持) rev 2024-1-26 沈下変位 yD [mm] 反力 R [kgf] 沈下係数 k [kgf/mm] とし、 yD = k・R ----- I (a)3モーメント式(前述H式)で算出 Ri+1 = RiB + Ri+1A = RiBW + Ri+1AW + RiBM + Ri+1AM ここに、RiBW = -(Mi+1 - Mi)/Li RiAW = (Mi+1 - Mi)/Li さらに、θiD = (yiB - yiA)/Li = (ki+1Ri+1 - kiRi)/Li これらを3モーメント式の支点傾斜の θiD-θi+1D 項へ代入して、 Cj,i-1Mi-1 + Cj,iMi + Cj,i+1Mi+1 + Cj,i+2Mi+2 + Cj,i+3Mi+3 = θiBW - θi+1AW + θwi - θwi+1 なお、 Cj,i-1 = ki/(Li-1 Li) Cj,i = Ci - ki /(Li-1 Li) - (ki +ki+1)/ Li2 - ki+1/(Li Li+1) Cj,i+1 = 2(Ci+Ci+1) + ki/L i2 + 2ki+1/(Li Li+1) + (ki+1+ki+2)/Li+12 Cj,i+2 = Ci+1 - (ki+1 +ki+2)Li+12 - ki+1/(LiLi+1) - ki+2/(Li+1Li+2) Cj,i+3 = ki+2/(Li+1Li+2) なお、Ci = Li/6EIi 集中荷重Pで θiBW - θi+1AW = ai(Li2-ai2)Wi/6LiEIi - bi+1(Li+12-bi+12)Wi+1/6Li+1EIi+1 θwi =[{(Li+1-ai+1)Pi+1/Li+1)+(aiPi/Li)}ki+1 - {(ai-1Pi-1/Li-1)+(Li-ai)Pi/Li)}ki]/Li 分布荷重ωで θiBW - θi+1AW = -ωiLi2/24EIi - ωi+1Li+12/24EIi+1 θwi = [(Li+1ωi+1+Liωi)ki+1 /2 -(Li-1ωi-1+Liωi)ki/2] /Li (b)変位より算出(右図) δ = R / k --- (@) δ = yW - yD = cW・q - cD・R --- (A) (@)(A)より R = cW・q・( 1k + cD) ------- (B) 但し、撓みの式(ハ)より yW = cW・q cW = a・(L3 - 2a2・L - a3) / 24EI yD = cD・R cD = a・b・(L22 - a2) / (6EI・L) ★反力Rのみを算出の場合は、連続梁でのマトリックス解においても (b)の方式が可也簡単であるが、 角度など諸要素をも求めるとなると(a)(b)に大差はない。 ★不等断面のはりは、3モーメント法で近似的に計算できる。 j番目の弾性支持ばね係数kj=0と置くことにより、ここが支点でなくなり、IEj-1 およびIEjに近似数値を 入れる。( 最下図 [B](ハ) ) |
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■外部モーメント ・単径間の式: 公式集 (モーメント荷重) を参照 ・3モーメント法の留意点: モーメント荷重 MD が支点に作用の場合、支点の釣合いの式に下記2通りがある。 (イ) M1B = M2A (前述のと同じ) とする モーメント荷重 (連続梁) を参照 (ロ) M1B = M2A - M2D とする モーメント荷重 (支点上) を参照 ・その他: モーメント荷重を受ける 不等断面梁 (単径間) を参照 追加 Date 2013-10-17
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■連立方程式(Matrix)の解法 消去法(順次項目の消去)にて三角行列に変換し、更に対角行列に変換して、 その対角の要素が解となる。 対角の要素がゼロとなる場合は計算行の順序を入替える。 |
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■連続はりのプログラムでの入力値(説明省略)
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